トレードは勝ったり負けたりしながら最終的にプラスリターンになればよい。
つまり,期待値がプラスになるトレードをひたすら繰り返せばよく,その途中の1回1回の勝敗に一喜一憂する必要はない。
例えば,年間トータルで期待値がプラスになるトレードをひたすら行って,その通り年間リターンがプラスになっていれば,ナイストレードである。
たとえその過程においていくらマイナスになろうと,最後にプラスになっていればよい。
そのためには,期待値がプラスのトレードを行う必要があることは言うまでもない。
では,どのくらいのリターンをトレードに求めるかであるが,これはトレードを行う人の資金力や,トレード技術によってもその求めるリターンは異なる。
今銀行の定期預金の利子を見ると,1年定期に預けて1%の利子が得られるところなんてまずない。
それを考えると,トレードをして年間リターンが1%得られるのであれば,万々歳である。
しかし,年利1%ということは,100万円の資金を1年間運用して得られる利益は1万円であるから,リスクを背負ってその1万円を取りにいくのかという問題がある。
年間1万円の利益しか得られないなら,時給仕事をして1万円を稼いだ方がリスクもなくはるかにいいように思える。
それでは,資金100万円を1年間運用したとき,どのくらいのリターンを得られれば,リスクを取ってトレードをするに値するだろうか。
おそらく,それは数万円ではないだろう。
もちろん,たとえ数万円でもさほどリスクがないなら,定期預金に1年間預けておくよりかはましと思う人も当然いるであろう。
実際,100万円を1年間運用して数万円のリターンを得るだけでよいのなら,さほどリスクなくそのようなトレードを行うことができるだろう。
しかし,そのようなリターンではトレードをする意味はないと考える人たちは,おそらく,数十万,中には数百万円のリターンを求めようとするかもしれない。
それは現実的に可能なのだろうか。
例えば,100万円の資金を1年間運用して50万円のリターンを求めるということは,年利50%である。
銀行の利子を考えると,その数値は途方もない大きさである。
ましてや数百万円のリターンとなれば,年利100%をはるかに超える数値である。
プロでもないただの個人が100万円を1年間運用してそのような数値を叩き出せるかを冷静に考えてみればよい。
それを考えると,年利50%以上なんてとても現実的とは思えない。
もちろん,フルレバレッジをかけての博打トレードを行って運よく1回目のトレードから大勝ちして,その勢いにのってがんがん資金を増やす人も一部にはいるだろう。
しかし,そのようなトレードはただの運でしかなく,もし,1回目のトレードで大負けしてしまうと,100万円しかない資金の大半を失ってしまい,その後,トレードができなくなってしまう可能性だってある。
それを考えると,フルレバレッジでのトレードはかなりのハイリスクである。
少ない資金で多くのリターンを得ようとするならば,ハイレバレッジでの勝負をせざるを得ず,それをやると,当然,資金を大きく失う可能性があるのは誰もが知るところである。
ネット上ではしばしば「はい,20万円ゲット! おつ。」,「よっしゃ! 100万げっとおおお!」みたいなのを見かけるが,そもそもそのようなツイートがリアルにトレードされたものなのかも分からないし,たとえリアルにトレードした結果であっても,そのような金額の利益をえるために,数千万,あるいは,数億円の資金を使ってる可能性だってあるではないか。
どのくらいの額の資金を運用しているかも分からないのに,その得られた金額だけをみてすごいと思ってやしないか。
たとえ数億円の損失を出したとしても,それが200億円の資金を運用した結果であれば,その損失額はわずか数%である。
資金100万円の人が数万円の損失を出しても数%である。
その両者には絶対的な金額の差がものすごくありはするが,その損失額を資金に対する割合で考えると,どちらも同じ数%である。
多くの人は絶対的な損得の金額の大きさであれこれ考えてしまいがちであるが,資金に対する割合でその金額の大きさを判断するべきである。
さて,証拠金100万円を1年間運用したとき,現実的に可能なリターンがどのくらいかを考えたとき,15~25%あたりではないかと思う。
毎月2万円の利益をコンスタントに12ヵ月出せば,年間で24万円のリターンとなり,それができるのなら,年利24%である。
年利24%の利益を実現するためには,月平均2万円の利益を出す必要があるが,2万円くらいならなにやらできそうに思えるではないか。
しかし,年間のリターンの絶対額が20万円ちょいくらいなら,意味がないと思うのなら,かなりのリスクをとってトレードをするか,トレード資金を増やすしかない。
リスクとリターンはある程度比例するので,より大きなリターンを求めるのなら,それなりのリスクを覚悟せねばなるまい。
トレードして年利20%のリターンを毎年コンスタントに出し続けるのだって,実はかなり難しい。
もちろん,そのくらいなら,出せるよという人もいるだろうが,そのような人たちはかなりの腕前のトレーダーである。
トレード業界におけるスーパースターのような一部の天才的な人たちは,ものすごいリターンを実現しているかもしれないが,普通の個人がそのようなリターンを得るのはかなり難しいし,ましてやそのようなリターンを毎年安定的に出し続けるなんて,まず無理である。
1回のトレードで数十万ゲット,数百万ゲットみたいなのをネット上で見かけたとしても,それが自分にもできるのかどうか,自分が運用する資金の大きさや,自分のトレードの腕前をよく考えてみる必要がある。
毎年コンスタントに年利数十%を出せるのであれば,それはものすごいことだという認識が必要である。
ましてや年利100%越を毎年コンスタントに出せるなんて人がいれば,その人はスーパースターである。