トレードを始めるときには,ポジションを取ったあと,そのポジションにとって最悪の事態になったとき,どうするかをあらかじめ決めておくのがよい.
人は概して先が分からないことに恐怖心を抱きやすい.
そのため,その恐怖心を少しでも軽減するためには先が見えるようにしてやるのがよい.
未来の相場展開は誰にも分からないことであり,たとえある程度その展開が予想できたとしても,その予想通りの展開になるかどうかはそれまた誰にも分からないことである.
従って,トレードは先が見えない中で常にトレードすることになるのであるが,現実には先が見えなくても,自分の中ではその先が見えているようにすればよいのである.
ポジションを取ったあとの相場展開を何通りも想定し,それごとにどのようにポジションを操作していくのかを最初に決めておく.
特に,そのポジションにとって一番最悪の事態が起きたとき,どのように対処するかを決めておくのは大事で,その時の損失額などが自分のリスク許容範囲を越えているならば,そのポジションを取ってはならない.
相場というのはとても非情なもので,トレードする人の個人的な事情など,何1つ考えてはくれない.
自分のポジションにとって最悪の事態なんてそうそう起きるものではないと,相場をなめてかかると,手ひどい目に合うだろう.
もちろん,実際には最悪の事態というものは,そうそう起きるものではないが,それでも確率的にはゼロではないわけで,起きてほしくないと強く思ってるときほど,不思議と最悪の事態が起きてしまったりする.
そのような経験を実際にトレードしながら何度も味わうと,最悪の事態なんてそうそう起きないものという甘い考えが実際の相場では通用しないということが身に染みて分かる.
これはそのような経験を何度もしてみないと,なかなか理解されないかもしれない.
自分のポジションにとって最悪の事態が実際に起きたとき,トレード資金を失うだけでなく,大きな借金を抱えてしまうことになっては一大事である.
少しでもその可能性があるのならば,その可能性を可能な限り排除しておくべきであろう.
そういう意味でも自分のポジションにとって最悪の事態が起きたとき,どうするかをあらかじめ決めておくのはとても大事である.
一番最悪の事態が起きたとき,どのように対処し,どのくらいの損失が出るかがあらかじめ分かっていれば,その程度の損失ならば,何とかなるなと思う気持ちの余裕がトレード行う上での余裕を生むのである.