多くの人は相場の先行きを予想してトレードをしようとするが,予想しても相場の先行きはなかなか当たらないものである.
もちろん,予想通りの展開になることもあるが,そのようなことが永遠に続くわけではない.
相場の先は誰にも分からない.
このことは誰もが分かっているようで,実は分かっていなかったりする.
株価のチャートを見てあたかもそのような動きになるのが分かっていたかのように語る人もいる.
株価の推移の結果として出来上がったチャートをみると,ここで仕掛けて,ここで決済できたのにと思ったりするが,そんな簡単な話ではない.
よく移動平均線を使ってトレードしている人がここに25日移動平均線が走っていたから下がっていた株価がそのあたりで下げ止まり,そして,反発して上がっていったとか語っているのを耳にすることがある.
しかし,それは結果論であってそこで反発せず,さらに下に落ちていくことだってある.
もし,結果として25日移動平均線あたりで下げ止まらず,さらに下に突き抜けていったら,次は75日移動平均線でどうなるかだなというぐあいに動きの結果をみてあれこれ語る.
そもそも下がっていた株価が25日移動平均線で止まるかどうかなんて誰にも分かるはずがない.
ただ,下がっていた株価が25日移動平均線あたりで止まるとみる人が大勢いて,そのような人々が一斉にそのあたりで買いに走れば,当然株価は下げ止まり,反発して上がっていくだろう.
結局,どこで大勢の人がポジションを取ってくるかが重要なのである.
その大勢の人がポジションを取ってくる位置が移動平均線によって導き出されるのであれば,移動平均線はトレードにおいて大変役立つ指標となる.
しかし,現実は移動平均線だけでは勝ち続けることができない.
もし,移動平均線だけで勝ち続けることができるならば,様々な指標が乱立するはずがない.
トレードにおいて重要なことは,相場の先行きを予想することでなくて,どのような相場展開になったとしても,その展開に応じたポジション操作ができるようになることである.
例えば,買いポジションを取った後,自分の読み通り株価が上がり,利が乗ってくることもあれば,その逆も当然ある.
自分の読み通り相場が展開しなかったとき,どのように対処するか,そのことの方が相場の先行きを予想するよりはるかに大切である.
そもそも相場の先行きなんてそうそう当たるものではない.むしろ外れることの方が多いと思う.
相場において大事なのは,相場の先は誰にも分からないという前提のもと,自分の読みと違った相場展開になったとき,どのように対処していくか,それが大事であり,それができなければ,相場に長く生き残り続けるのは難しいであろう.