トレードする上で相場に参加している人の注文がどこに多く集中しているかを考えることは,とても大事である.
注文が集中しているところでは,値動きのトレンドが転換しやすいし,トレンドの発生につながったりするからである.
例えば,長く買いのサポートラインとして機能していたところを割ると,一気に下に走ったり,あるいは,長く買いのレジスタンスラインとなっていたところを上にぶち抜けると,一気に吹き上げたりする.
前者の場合,サポートラインのすぐ下あたりには買い方のロスカット注文が多く溜まっていることが多く,その注文が発動することにより,一気に下に走るわけである.
そして,後者の場合はその逆で,レジスタンスラインのすぐ上には売り方のロスカット注文が多く溜まっていることが多く,その注文が発動することにより,一気に上に吹き上げるわけである.
あちこちに火柱が上がっているのは,売り方のロスカット注文が発動したことによってできあがる場合が多い.
また,一方向に動いていた株価があるところまでくると,そこからは先には進まず,そのあたりで横横になり,その後,反対方向に動きだすことがある.
これもその横横となったあたりに株価を反対方向に動かすだけの注文が集中していたからである.
その横横となっていたあたりには,その株価であれば,新規に注文をしてもいいという人たちの新規の注文が多くあったり,その時点で含み益を持っている人たちがそろそろ手仕舞いの注文をいれてきたりする.
そのようにして一方向に動いていた株価が横横となると,それをみてトレンドに乗ってトレードしている人たちがそれ以上の利益は望めないと思って一斉に手仕舞いの反対売買をしたりする.
そのため,新規の注文と手仕舞いの注文が集中することによって,それまで一方向に動いていた株価が反対方向に動き始めるのである.
暴落があるところで止まり,その後,一気にリバしていく裏にはそのような注文の集中があるからである.
暴落の場合,どこまで落ちていくか分からないので最初は新規の買いは入りにくい.
暴落時にその値動きを最初に止めてくれるのは,売り方の買い戻しの場合が多いだろう.
売り方は暴落時にほくほくの含み益となっているので,満足する利益が出たあたりで買い戻しを始める.
このように暴落時に喜んで最初に買うのは売り方の買い戻しの場合が多く,中にはこの価格なら,買ってもいいという人もいるにはいるが,さほど多くはないだろう.
たいていの場合,落ちていくところを新規で買うと,さらに下まで連れていかれることが多い.
そのような買い戻しや新規の注文によって暴落の威勢が少しずつ衰えてくると,今度はこの株価安いと思って新規に買ってくるバーゲンハンターたちがあちこちからわあってやってくる.
そうすると,下げ止まり,その後,その下げ止まったのをみて,買いだ,買い!とばかりにさらに新規の買い手が押し寄せて,その後,リバっていくのである.
空売りをする人たちは,とかく悪く見られがちであるが,健全な株価の上げ下げにショーターの存在はなくてはならないものである.
空売りができない銘柄の値動きが一方向に流れやすいのは,空売りができないことによるところも大きいだろう.
注文が集中しているところでは株価の動きが変化しやすいところであるので,トレードする際には,どこに注文が集中しているかを常に意識しておく必要がある.