相場の先行きは誰にも分からない.
この前提を受け入れてどのようにトレードをするかを考えなければならない.
例えば,この状況では次にこうなる可能性が高いというのが経験上分かっていたとしても,実際にそのようになるかどうかは,実際に起きてみないと分からない.
より具体的に言うと,下がっている株価が何らかの根拠によって25日移動平均線で反発する可能性が高いと判断したとしても,実際にそこで反発するかどうかは誰にも分からない.
なので,トレーダーとしてできることは,25日移動平均線で反発する可能性が高いと判断して買いポジションを持ったあと,そこで反発しなかったとき,どのように対処するか,その技術を磨くことである.
つまり,何らかの根拠によってポジションを取ったあと,そのポジションにとって不利な状況になったとき,どのように対処するか,その対処技術が大変重要なのである.
もちろん,自分のポジションにとって有利な状況になったときも,どこで利食いするかの技術も重要であるが,その技術がたとえ下手であっても,損失になることはないので,その下手さによって相場から退場する可能性はない.
しかし,自分のポジションが不利な状況に追い込まれた時,その対処技術が下手であれば,相場から退場となる可能性がある.
従って,自分のポジションにとって不利な状況となったとき,どのように対処するか,その技術はとても重要である.
トレードが上手な人ほどその対処技術が素晴らしく,とても上手に負けるのである.
上手に負けるというのは,トレードルールに従って正しいトレードができたということでもある.
トレードルールに従ってトレードができている限り,ポジションを閉じたとき,たとえポジション損益がマイナス終わりとなったとしても,それは正しいトレードを行ったということで,負けたマイナスは利益を積み上げるための必要経費である.
それに対して,トレードルールを守らずに損失を出してしまったのならば,その損失は必要経費ではなく,意味のない負け,ただの損失である.
まあ,意味のない負けであっても,こんなトレードをしていてはいけないということを学べるという点では意味のある負けと言えなくもないけれど,痛い勉強料をリアルに払うことになるので,そのようなことは可能な限り避けるべきである.
そもそも,トレード資金を大きく失うようなトレードを続けていると,いつかは退場してしまう.
相場においてトレーダーができることは,起きたことに対する対処だけなので,その対処技術を日々磨く必要がある.
これから起きることをあれこれ考えてたとえ何かしたとしても,そのような展開になるかどうかはまったく分からないので,結局,トレーダーとして確実にできることは,何かが起きたあと,どうするかだけである.
相場は常に変化しているので,その変化に対応した技術が求められる.
その技術を磨くことを日々怠ってはならない.